IT投資促進税制

1.この税制の目的

 この制度は、IT投資の促進によって、短期的な需要創出効果のほか、わが国企業全体の事業の効率化、付加価値の向上を通じ、中期的な産業競争力強化を期待できるため租税特別措置法(第42条の11)に規定されたものです。また、経済産業省などが支援する戦略的情報化投資活性化プロジェクト(ITSSP)と表裏一体となる政策的な意味を持った減税です。

2.この制度の概要

 平成15年1月1日から平成18年3月31日までの期間内に、一定のIT関連設備等(注1)の取得等をして、これを国内にある事業の用に供した場合には、取得価額の100分の50相当額の特別償却と取得価額の100分の10相当額の特別税額控除との選択適用が認められます。
 また、資本金が3億円以下の法人にあっては、一定のリース資産(注2)の賃借をして、これを国内にある事業の用に供した場合には、リース費用の総額の100分の60相当額について100分の10相当額の特別税額控除が認められます。ただし、当期の法人税額の100分の20相当額を限度とし、控除限度超過額については1年間の繰越しが認められます。

3.適用関係

 上記の措置は、平成15年4月1日以後に終了する事業年度について適用されます。なお、同日前に終了する事業年度において平成15年1月1日から平成15年3月31日までの間に対象設備等の取得等をした場合には、平成15年4月1日を含む事業年度において、特別税額控除相当額又は特別償却相当額の繰越控除又は償却が認められます。

(注1)IT投資促進税制の適用対象となるIT関連設備等

 IT投資促進税制の適用対象となるIT関連設備等は、次の表の設備等で、その設備等の種類に応じ、次の@又はAの規模以上のものとなります。

@表のイからチまでの設備
 IT投資促進税制の適用を受けようとする事業年度において取得等をした表のイからチまでの設備の取得価額の合計額が600万円以上(資本金3億円以下の法人については、140万円以上)となる場合のその設備が該当します。
 
A表のリのソフトウエア
 IT投資促進税制の適用を受けようとする事業年度において取得等をした表のリのソフトウエアの取得価額の合計額が600万円以上(資本金3億円以下の法人については、70万円以上)となる場合のそのソフトウエアが該当します。

(注2) リース税額控除の適用対象となるリース資産

 適用対象となるリース資産は、次の表の設備等で、そのリース費用の総額がそのリース資産の種類に応じ、次の@又はAの金額以上のものとなります。なお、適用対象となるリースは、リース契約期間が4年以上で、かつ、リース資産の耐用年数を超えないものであること等の要件を満たすものに限られます。

 @表のイからチまでの設備
 リース税額控除の適用を受けようとする事業年度において新たにリースをした表のイからチまでの設備のリース費用の総額の合計額が200万円以上となる場合のその設備が該当します。
 
 A表のリのソフトウエア
 リース税額控除の適用を受けようとする事業年度において新たにリースをした表のリのソフトウエアのリース費用の総額の合計額が100万円以上となる場合のそのソフトウエアが該当します。

<表>

 イ
 


電子計算機
計数型の電子計算機(主記憶装置にプログラムを任意に設定できる機構を有するものに限ります。)のうち、処理語長が32ビット以上で、かつ、設置時における記憶容量(検査用ビットを除きます。)が256メガバイト(サーバー用のものにあっては、128メガバイト)以上の主記憶装置を有するものに限るものとされ、これと同時に設置する附属の入出力装置(入力用キーボード、ディジタイザー、タブレット、光学式読取装置、音声入力装置、表示装置、プリンター又はプロッターに限られます。)、補助記憶装置、伝送用装置(無線用のものを含みます。)、変復調装置又は電源装置を含みます。
 ロ


デジタル複写機
専用電子計算機(専ら器具及び備品の動作の制御又はデータ処理を行う電子計算機で、物理的変換を行わない限り他の用途に使用できないものをいいます。)により発信される制御指令信号に基づき画像情報をデジタル信号に変換し、色の濃度補正、縦横独立変倍又は画像記憶を行う機構を有するもの及び当該専用電子計算機を同時に設置する場合のこれらのものに限るものとされ、これらと同時に設置する専用の自動原稿送り装置、排紙分類装置、給紙装置、プリンター又はファクシミリを含みます。
 ハ

ファクシミリ
送受信データを蓄積する機構及び普通紙に受信データを印刷する機構を有するもののうち、最大伝送速度が毎秒28.8キロビット以上のものに限るものとされ、これと同時に設置する専用の変復調装置、回線制御装置又は回線接続装置を含みます。
ニ 
ICカード利用設備
ICカードとの間における情報の交換並びに当該情報の蓄積及び加工を行うもので、これと同時に設置する専用のICカードリーダライタ、入力用キーボード、タブレット、表示装置、プリンター又はプロッターを含みます。
ホ 
デジタル放送受信設備
デジタル信号により送信される放送を受信しその信号を処理することが可能なもので、電気通信回線に接続し電気通信信号を発信する機能、瞬間的影像に併せデータの処理を行う機能及び高精細度な画像の処理を行う機能を有するものに限られます。
へ 
インターネット電話設備

専ら音声信号の変換又は交換を行う電気通信設備のうちインターネットプロトコルに対応するためのもの及びこれらの呼制御を行う制御装置に限るものとされ、これらと同時に設置する専用の端末装置又は変復調装置を含みます。



ルーター・スイッチ
インターネットを構成するルーター(通信プロトコルに基づき、電気通信信号を伝送し、その経路を制御する機能を有する専用の電気通信設備をいいます。)又はスイッチ(通信プロトコルに基づき、電気通信信号を伝送し、その経路を選択する機能を有する専用の電気通信設備をいいます。)のうち、毎秒45メガビット以上の伝送速度に対応するものに限るものとされ、これらと同時に設置する集線装置を含みます。


デジタル回線接続装置

光伝送の方式における電気信号と光信号との変換の機能を有する装置、デジタル加入者回線伝送方式における音響と符号とを周波数により分離する機能を有する装置、統合デジタル通信網に端末装置を接続する機能を有する加入者回線終端装置及び統合デジタル通信網にアナログ端末を接続する機能を有する信号変換装置に限られます。



 
ソフトウエア
電子計算機に対する指令であって一の結果を得ることができるように組み合わされたもの及びこれに関連するシステム仕様書その他の書類に限るものとされ、複写して販売するための原本及び開発研究(新たな製品の製造若しくは新たな技術の発明又は現に企業化されている技術の著しい改善を目的として特別に行われる試験研究をいいます。)の用に供されるものを除きます。

☆ 上記のとおり、イロハニヘトについては一定の附属設備等を含みますが、リについては販売用ソフトのコピー原本及び開発研究の用に供されるものを除くことに留意を要します。



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