印紙税の取扱いに注意!

消費税総額表示に伴う印紙税留意点
手形金額と印紙税の記載金額
免税事業者が作成する領収書の取扱い
課税事業者と免税事業者が共同で作成する文書の取扱い
一括値引きした場合の取扱い

消費税総額表示に伴う印紙税留意点

「総額表示方式」が消費税法で採用されたことに連動して、契約書や領収書への金額記載の形態として様々なケースが増えてくることから、金額記載の形態に応じた印紙税の取扱いについて、「消費税法の改正等に伴う印紙税の取扱いについて」の一部が改正され明確化されました。 従来から、契約書や領収書において、消費税が区分記載された場合、その消費税額等は印紙税法上の記載金額に含めないこととする取扱いをしており、改正後においてもその取扱いの趣旨は異なることはありませんが、総額表示義務により記載がなされてる場合の取扱いを今回の取扱いでは明確化しています。(平成16年2月19日付課消3−5)

(1)記載金額の具体的な取扱い

次の例示のいずれの場合にも印紙税法上の記載金額は1,000万円として取り扱うこととしています。

@「消費税額等が区分記載されている場合」

請負金額 1,000万円 消費税額等 50万円 計 1,050万円
請負金額 1,050万円 うち消費税額等 50万円
請負金額 1,050万円 税抜価格 1,000万円 消費税額等 50万円

A「税込価格及び税抜き価格が記載されていることにより、
その取引に当たって課されるべき消費税額等が明らかである場合」

請負金額 1,050万円 税抜価格 1,000万円

(2)税抜価格とは異なる「本体価格」表示の取扱い

(例)エアコンの領収書に次のような表示をした場合

エアコン 105,000円 (本体価格80,000円)
(注)この場合別途取付費用が20,000円である場合

この場合「税抜価格」(100,000円)と異なった「本体価格」(80,000円)のみの表示であるため、印紙税法上の記載金額は、取引価格合計の105,000円となります。

(3)第17号文書(金銭又は有価証券の受取書)の記載金額30,000円未満の場合の具体例

No. 具体的な表示形態 印紙税法上の記載金額 印紙税の課否
1 31,290円 31,290円 課税文書
2 31,290円 (税込み) 31,290円 課税文書
3 31,290円 (税抜価格29,800円) 29,800円 非課税文書
4 31,290円 (うち消費税額等1,490円) 29,800円 非課税文書
5 31,290円 (税抜価格29,800円、消費税額等1,490円) 29,800円 非課税文書

(4)「消費税額等5%を含む」または「消費税及び地方消費税を含む」と記載した場合の取扱い

この場合にも、取引価格に非課税売上と課税売上げがある場合や分割払いの場合の本体部分の受領である場合等明らかでないケースもあるため、取引価格から計算したとしても、課されるべき消費税額等の金額が必ずしも明らかにならないため、結果的に明示されている取引価格金額総額が記載金額として取り扱われることになります。

手形金額と印紙税の記載金額

商品の購入代金を支払うために、第3号文書となる「約束手形」を振り出す場合に、消費税額等の金額を区分して記載した場合

約束手形又は為替手形の印紙税の課税標準は手形に記載された手形金額となります。この場合の手形金額とは、手形法上の金銭の給付を内容とする手形債権の金額をいうこととされています。

免税事業者が作成する領収書の取扱い

免税事業者が、領収書を作成するに当たって消費税額等の金額を区分記載した場合

免税事業者は課税資産の譲渡等について消費税を納める義務が免除されますから、収受し、又は収受すべき金銭等のうちには、課されるべき消費税額等に相当する金額は含まれていないことになります。
したがって、その金額は消費税法により課されるべき消費税額等の金額ではないことになりますから、印紙税法上の取扱いにおいては、記載金額から除かれることににはなりません。なお、この取扱いは従来から同様です。

課税事業者と免税事業者が共同で作成する文書の取扱い

@課税事業者であるA建設鰍ニ免税事業者であるB商店との間において、両者が署名押印し、A建設鰍請負人とする「建設請負契約書」を締結した場合には、消費税の課税の対象となる資産の譲渡等を行う者は、課税事業者であるA建設鰍ニなり、消費税額等の金額を区分して記載した場合には、その消費税額等の金額は記載金額に含まれません。

A免税事業者が資産の譲渡等を行う場合の契約書においては、消費税額等が課されな い取引であることから、消費税額等の金額を区分したとしてもこれを記載金額から除くこととはなりません。
以上の考え方は、契約当事者の一方が消費者であった場合を含め、従来から同様の取扱いです。

一括値引きした場合の取扱い

消費税額等を区分記載した後に一括して値引きをした場合の記載金額の取扱い。 値引き後の金額の記載方法によりそれぞれ取扱われます。

@ 請負金額 5,000,000円 消費税額等 250,000円 計 5,250,000円
値引 100,000円 差引請負金額 5,150,000円 (うち消費税額等 245,238円)
記載金額は消費税額245,238円が区分記載されていますから、4,904,762円となる。

A 請負金額 5,000,000円 消費税額等 250,000円 計 5,250,000円
値引 100,000円 差引請負金額 5,150,000円
記載金額は5,150,000円について消費税額等の具体的な金額が区分記載されていないので、5,150,000円が記載金額となります。

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