コンピュータネットワークの基礎知識(その2)

今回はインターネットの実体とインターネットを構成する コンピュータネットワークについてお勉強しましょう!

1.インターネットとは?
2.インターネットのサービス
3.インターネット機器と通信回線

1.インターネットとは?

インターネットはネットワークの集合体です。 コンピュータどうしを通信回線で結んでいくと、 世界中と接続できる巨大なネットワークになります。

(1)コンピュータどうしを接続するとLANになる

いちばん簡単なコンピュータネットワークの形態は、 パソコン等のコンピュータを、ハブやスイッチングハブと いった機器を介してケーブルで接続したものです。 こうして出来たコンピュータネットワークの最小単位が、 LANです。LANの一つのまとまりは、セグメントと呼ばれます。 セグメントは、島のようなイメージです。

セグメント

(2)LANとLANを接続するとひとつの組織になる

パソコンなどの複数のコンピュータを接続すると、 セグメントというLANの島ができあがります。 大企業になると、部署ごとにLANのセグメントを作っています。 このLANのセグメントを束ねたものが、インターネットにおける ひとつの組織となります。いわば、島が集まってできた国の ようなものです。LANのセグメントを束ねるのは、 ルータが行います。

インターネットでは、このようなひとつの組織をドメインと呼んでいます。 ドメインを表記するには、みなさんがホームページを指定するときに おなじみの「amanoace.gr.jp」のような表記方法を使います。

企業だけでなく大学やプロバイダも、ひとつの組織になります。 そして、このような複数のドメインが結びついて、 インターネットを形成しているのです。

組織

(3)プロバイダとプロバイダの接続地点(IX)

では、プロバイダ同士はどうのように接続されているのでしょうか。ユーザーからは直接見れないので、わかりにくいですよね。現在、インターネットに接続するプロバイダは複数あります。このプロバイダ同士を接続するには、複数の回線が必要になります

接続その1

接続その2

ここでIX(Internet eXchange)の登場です。

IXは“インターネット相互接続点”などと呼ばれています。インターネットでは、データは「バケツリレー式」で運ばれていく/くるというイメージがありますが、実際にリレーする場所がIXなのです。IXを利用するメリットには、相互接続するときに使用する回線が少なくてすむこと、経路制御もわかりやすくなることなどがあげられます。

本来、インターネットの仕組みからいえば、全てのプロバイダがIXに接続しなければならないというわけではありません。IXに接続するには多額の料金を払う必要があるからです。しかし、直接接続しなくても、IXに接続権をもつプロバイダに接続すれば、ほかのプロバイダとも通信できます。

(4)インターネットに接続するには?

インターネットに接続するには、まずプロバイダに接続しなければなりません。プロバイダに接続する方法には、個人ユーザが通信回線を通じてダイヤルアップなどで接続する方法、企業などのLANそのものを接続する方法があります。

1.プロバイダからインターネットに接続

インターネットに接続するにはプロバイダと契約をしなければなりません。インターネットに接続するには、どこかのネットワークの一員となる必要があるのです。プロバイダに加入するということは、ネットワークの組織の一員になることであるといえます。プロバイダのアクセスポイントを経由しないとインターネットに接続できないのも、この理由によります。IDやパスワードによってプロバイダの一員と認められた時点で、プロバイダのネットワークを経由してインターネットに接続できるというわけです。アクセスポイントまでの主な通信回線には電話回線、ISDN、ADSL、FTTHなどがあります。

2.LANからインターネットに接続

企業や学校のLANをインターネットに接続するには、LANとインターネットを結ぶ接続装置が必要になります。この接続装置の事をルータと呼んでいます。外部のネットワークと内部のネットワークを接続するには、必ずルータが必要です。個人ユーザとは異なり、インターネットにアクセスするときの通信回線は、専用線やADSL、FTTHといった常時接続に対応したものを利用するケースが多くなります。企業や学校では、LANを通じて多くの人がインターネットにアクセスします。そのため、回線速度が速く、常時接続可能な方が効率がよいわけです。費用対効果も高くなります。

インターネット接続

2.インターネットのサービス

インターネットの構成は、クライアント/サーバシステムに基づいています。インターネットにはさなざまなサービスを提供する無数のサーバがあります。ここでは、インターネットにはどのようなサーバがあり、どのようなサービスを利用することができるのかをみていきましょう。

■WWW(World Wide Web)サービス

ホームページを閲覧可能にするサービスです、WWWサーバ(Webサーバ)と呼ばれるサーバから、ホームページを世界に向けて発信することが出来ます。Webコンテンツ(インターネット上のWebサーバーに掲載されているテキストやグラフィックなど)をブラウズするには、Netscape NavigatorやMicrosoft Internet ExplorerなどのWebブラウザが必要になります。

■メールサービス

電子メールの送受信を可能にするサービスです。メールサーバには、自分宛にきたメールが保存されているPOPサーバや、メールを送信するとき利用するSMTPサーバなどがあります。

■FTPサービス

インターネット上でファイルを転送するサービスです。インターネットの標準的なファイル転送の方法として利用されています。ファイルをダウンロードしたり、ファイルをアップロードしたりすることが可能です。ダウンロード時にftpを選んだほうが、時間の節約になることが多いです。

■DNS(Domain Name System)サービス

インターネット上の「255.254.253.0」などの数字の羅列で表されているIPアドレスを、人が覚えやすいようにドメイン名と呼ばれるamanoace.gr.jpなどの名前に置き換えるシステムです。インターネット上にはDNSサーバというIPアドレスとドメイン名の対応表を持っているサーバがあり、ユーザーはそこに接続することによりドメイン名でIPアドレスを持つサーバにアクセスできるようになっています。

■TELNET

遠隔地からほかのコンピュータにログインして、遠隔操作を行なう方法です。遠くはなれた場所からサーバ等をメンテナンスする目的で利用されています。一般ユーザがこのサービスを利用することは、ほとんどありません。

3.インターネット機器と通信回線

LANやWANで使用する機器や通信回線には、さまざまなものがあります。これらの機器は、それぞれに役割が異なっており、LANやWANを構築するうえで重要です。

LANを構成する機器

@ハブ(Hub)

ハブは集線装置(Concentrator)です。LANなどのネットワーク上で、ケーブルを分岐、中継するために使用される機器です。リピータハブとも呼ばれます。ハブを使用することで、より多くの機器をネットワークに接続できます。
ネットワークの中心のサーバからハブを接続して、さらに複数台のパソコンやプリンタなどのネットワークを構成する機器が接続できます。

Aスイッチングハブ(Switching Hub)

スイッチングハブは、MACアドレスというデータの宛先をみて、データを中継すべきかどうかを判断します。受信したパケットの送信先アドレスと内部のアドレステーブルを照らし合わせ、送信先の端末がつながっているポートにのみパケットを送出する。受信したパケットを他のすべてのポートにブロードキャストするリピータハブと異なり、各ポート間で1対1の通信を行なうため、ある1組が通信している最中でも、他のポートは自由に通信できる。

スイッチングハブ

Bルータ(router)

ネットワークとネットワークとを中継するハード。異なるネットワーク間の中継点に設置して、ネットワークを介して送信されるデータをきちんと目的の場所に届ける役目を持っている。ネットワーク内を流れてきたデータが外部のネットワーク宛であれば、ルータはそのデータを外部に送り出す。ルータはそのときにどういう経路でデータを配信するかまで判断し、最適なルートに送り出している。これを経路選択(ルーティング)といいます。

ルーター

インターネットに接続するための通信回線

@電話回線

アナログ信号で音声や送受信する回線です。いわゆる、普通電話回線です。コンピュータが扱うデータはデジタル信号で表されるため、電話回線を通じてネットワークに接続する場合には、デジタルとアナログを変換するモデムという装置が必要になります。

AISDN(Integrated Services Digital Network)

統合デジタル通信網(Integrated Services Digital Network)の略。音声を含めた通信データをすべてデジタルで転送する電話回線のこと。通常の電話回線よりも高速であり、64kbpsの速度を実現しています。ISDNでネットワークに接続するには、DSN(Digital Service Unit)やTA(Terminal Adapter)という装置が必要になります。

BADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)

「加入者線」と一般に呼ばれる従来の電話回線(メタルケーブル)を利用し、専用のモデム経由で高速なデータ伝送を可能にしたデジタル技術(xDSL)の1つです。電話で音節を伝えるときは使用されない高い周波数を使います。Asymmetricとは「非対称」を意味しています。つまり、上がり(アップロード)と下り(ダウンロード)で通信速度が異なることを表しています。一般的に下り(ダウンロード)の通信速度は最高1.5M〜40Mbps、上がり(アップロード)の通信速度は0.5M〜1Mkbps程度と、通信方向によって最高速度が違います。ADSLを利用するにはADSLモデムが必要です。

CFTTH(Fiber To The Home)

電話局から各家庭までの加入者線を結ぶアクセス網を光ファイバ化し、高速な通信環境を電話、インターネット、テレビなどのサービスを統合して提供するしくみのことです。NTT東日本・西日本が開始した、光ファイバによる常時接続サービスの「Bフレッツ」などがこれに該当します。理論上の通信速度は100Mbpsとなっています。光ファイバを設置するには、特殊な工事が必要になります。

今回はここまでです。次回は「データ通信」について勉強しましょう!

(参考文献:『速習 TCP/IP』、著者 三浦一志、発行所 ソフトバンク パブリッシング株式会社)