●あなたやあなたと生計を一にする配偶者その他の親族のためにその年中(1月1日〜12月31日)に支払った医療費がある場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。
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医療費とは、診療費・薬代・入院費などを差しますが、具体的にはどのような費用が医療費控除の対象となるのでしょうか。Q&Aにまとめてみました。
A.治療のためのマッサージ代やハリ代は、原則として医療費控除の対象となるが、健康維持のためのマッサージ代やハリ代は、医療費控除の対象とはならない。
A.一定の資格のない者が行うカイロプラクティクの施術費用は、医療費控除の対象とならない。カイロプラクティクの施術は、医師が行う場合やあん摩マッサージ指圧師、柔道整復師が行う場合のほか、これらの資格のない者が行う場合もあるが、その施術の対価は、これらの資格を有する者がこれらの資格に基づいて行う施術の対価に該当するものを除き、医療費控除の対象とはならない。
A.発育段階にある子供の成長を阻害しないようにするために行う不正咬合の歯列矯正のように、歯列矯正を受ける者の年齢や矯正の目的などからみて社会通念上歯列矯正が必要と認められる場合の費用は、医療費控除の対象となるが、容姿を美化し又は容ぼうを変えるための歯列矯正の費用は、医療費控除の対象とはならない。
A.いわゆる人間ドックその他の健康診断は疾病の治療を伴うものではないので、当該人間ドック等の費用は、医療費控除の対象とはならない。しかし、健康診断の結果、重大な疾病が発見され、引き続きその疾病の治療を行った場合には、その健康診断は、治療に先立って行われる診察と同様に考えることができるので、その健康診断のための費用も、医療費控除の対象に含まれる。
A.治療又は療養に必要な場合には、医療費控除の対象となる漢方薬やビタミン剤は、治療や療養のために効能があるほか、疾病の予防や健康の増進にも効能があり、これらの購入費用について医療費控除を受けるためには、その漢方薬やビタミン剤が、医薬品(薬事法第2条第1項《医薬品の定義》に規定する医薬品に該当するもの)であることに加え、その費用が治療又は療養に必要なものであることが必要となる。
A.自宅で行う食事療法のための食品の購入費用は、治療又は療養に必要な医薬品の購入の対価には当たらず、また、医師による診療等を受けるため直接必要な費用にも当たらないので、医療費控除の対象とならない。
A.家政婦紹介所に支払う紹介手数料は、一般的には、療養上の世話の対価として支払うものではないが、療養上の世話をする者を紹介してもらったことに対する対価として支払う場合の紹介手数料は、医療費控除の対象となる。
A.入院患者の付添いの対価は医療費控除の対象となるから、その付添人の交通費や食事代が付添いの対価の一部として支払われるものであれば、医療費控除の対象となる。しかし、例えば、面倒をよく見てくれるという理由で、付添いの対価として支払うもの以外に、時々ご馳走をするとか、特別の心付けとして謝礼を支払うとかいう場合の支出は、付添いの対価とはいえないため、医療費控除の対象とならない。
A.施設介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の施設サービス費のうち、療養上の世話等に相当する部分については、医療費控除の対象となる医療費に該当する。自己負担額がどの対価であるか厳密に区分することは困難であることからから、施設サービス費に係る自己負担額として支払った額の2分の1に相当する金額を医療費控除の対象として差し支えない。
A.医師による治療を受けるためのリハビリ専門病院の入院費用は、例え当該病院が温泉地にある場合であっても、病状により一般的に支出される水準を著しく越える部分の金額や、医師等の診療等を受けるため直接必要なものでないものの金額を除き、原則として医療費控除の対象となる。
A.いわゆる差額ベット料や医療用器具等の購入費用などは、医師等の診療等を受けるため直接必要なもので、かつ、通常必要なものに限り、医療費控除の対象となる。したがって、差額ベット料については、病状により個室を使用する必要がある場合や、病院の都合で相部屋を使えず、やむを得ずその個室を使用しなければならない場合には、医療費控除の対象となる。
A.医薬品以外の物品の購入費用で医療費控除の対象となるものは、医師等の診療等を受けるため直接必要なものであることが必要である。したがって寝具や洗面具などは、入院のためには必要なものであるが、医師等の診療等を受けるため直接必要なものには当たらないので、その購入費用は、医療費控除の対象とはならない。
ただし、水枕や氷のうは疾病のために使用されるもので、医師等の診療等を受けるため直接必要なものと考えられるので、これらの器具の購入費用は、医療費控除の対象となる。
A.傷病によりおおむね6か月以上にわたり寝たきりであり、医師の治療を受けている者のおむつ代は、医師による治療を受けるため直接必要な費用として、医療費控除の対象となる。なお、おむつ代について医療費控除を受けるためには、その者の治療を行っている医師が発行した「おむつ使用証明書」と、支出したおむつ代の領収書を、確定申告書に添付するか、提示することが必要である。
A.病状からみて近隣の病院でも治療できる場合の自宅と遠隔地にある病院の間の旅費は、医師等による診療等を受けるため直接必要なもので、かつ、通常必要な費用には当たらないので、医療費控除の対象とはならない。しかし、遠隔地の病院でなければ治療ができないという相当の理由がある場合には、自宅と病院の間の旅費は、原則として医療費控除の対象となる。
A.被相続人の死亡後に支払われた医療費は、たとえ相続財産で支払われた場合であっても、被相続人が支払ったことにはならないので、被相続人の準確定申告上、医療費控除の対象にすることはできない。したがって、医療費の支出すべき事由が生じた時、すなわち、その医療費の請求の基となった治療費等を被相続人である父親が受けたときに、長男と父親が生計を一にしていたのであれば、その医療費は、相続人である長男の医療費控除の対象となる。
A.娘が治療を受けた時又は父親が治療費を支払った時の現況で、父親と娘が生計を一にしていたとすれば、父親が支払った治療費は医療費控除額の対象となる。
A.医療費を補てんする保険金等は、当該保険金等の支払いを受ける者が医療費を支払った者でない場合であっても、医療費の補てんを目的として支払を受ける保険金等である限り、医療費を補てんする保険金等に該当し、支払った医療費から保険金等を差し引く必要がある。
A.支払った医療費を補てんする保険金等の金額がある場合には、支払った医療費の金額からその医療費を補てんする保険金等の金額を差し引くこととされているが、この場合の差引計算は、その補てんの対象とされる医療費ごとに行い、支払った医療費の金額を上回る部分の補てん金の額は、他の医療費の金額からは差し引かない。したがって入院費の金額を超える部分の入院給付金の金額を、歯の治療費から差し引いて医療費控除額の計算を行う必要はない。